「悠久?」
「悠久?」
楽が掛け布団をめくり、足元を覗く。
「うん?」と、俺は何でもないことのように返事をした。
「なに、するの?」
「舐めたい」
「なんで?」
「舐めたいから」
「けど、私、もうっ――」
ついさっき達したばかりの蜜口は、熱く、柔らかく、潤んでいた。ソコに舌を這わすと、彼女の腰が浮いた。
「――ひゃっ、あ
」
ひと月ほど前にイくことを憶えた楽は、毎晩のように俺に触れられ、舐められても、慣れる様子はなく、毎回恥ずかしそうに顔を隠し、声を殺す。
その仕草が可愛くて、こうして彼女がイくまで感じさせるのが眠る前の日課のようになっていた。
時々、我慢ができずに寝起きや、日中も触れたくなるのだけれど、涙目で拒まれては無理も言えず、長く深いキスだけで我慢するようにしている。
俺のが復活したら、きっと朝でも昼でもお構いなしに楽を抱くだろう。
その日も近いと感じている。
その時に彼女が抵抗なく俺を受け入れてくれるように、今から慣れてもらっているというわけだ。
別にきまりがあるわけではないが、なんとなく一度達したら終わりになる流れで、最後までデキもしないのにしつこくするのもどうかと思って、それを受け入れていた。
だから、楽が油断しているのは無理もなかった。
楽は舐められるのが特に感じるようだが、恥ずかしさからあまりさせてくれない。
身体を見られることにも、まだ抵抗があるようで、いつも布団で身体を隠して、キスをしながら触れて、指でイかせていた。
けれど、俺は彼女の身体の傷は気にならないから、見たいし、触れたいし、口づけたい。
今夜はそれを実行に移した。
潤んだ蜜口から上の膨らみを舐め上げ、硬くなった花芽に吸い付くと、楽の尻に力がこもった。
吸い付きながら、転がすように舌先を細かく動かす。
「やっ、あ、ああっ
ん」
楽の甘い声を聞くと、すぐにでも完全復活しそうな錯覚に陥る。
ひと月前よりも半勃ちの状態を長く維持できるようになっているのに、どうしても完勃ちにはならない。
挿れたいのに
。
彼女の両太腿を肩に担いで、逃げられないように腕を回す。それから、しつこく花芽を舐め続けた。
「やっ、やぁっん! だめだめだめぇ
!」
説得力の欠片もないどころか、こんなに可愛い『だめ』は下半身を熱くするだけ。
俺は楽の声が枯れるまでやめなかった。
しつこ過ぎたと反省したのは、楽の痙攣が長く続いたうえ、喉元に熱い飛沫を浴びた時だった。
「楽
?」
顔を上げると、楽は目を閉じていた。小さく開いた口で、忙しなく呼吸を繰り返す。しゃくりあげているような不規則で弾むような呼吸。その度に、肩と胸が上下していた。
それから、顔中に涙の痕。
「楽?」
反応はない。
が、彼女の身体、主に腹と太腿が小さく痙攣し続けている。
やり過ぎた
な。
俺は襟口が湿ったスウェットを脱ぎ、彼女の飛沫や唾液なんかをそれで拭った。それから、チェストの中からタオルを取り出し、楽の身体を拭く。そのタオルをお湯で濡らして、もう一度拭いた。
意識があれば絶対にさせないだろう。
そう思うと、高揚感と背徳感に胸の奥がムズムズした。
こうしている間も、俺のは半勃ちの状態を保っている。
挿れられないかな
。
楽が眠っているのをいいことに、俺は彼女の足の間に膝を立てると、スウェットを尻の下まで下ろした。
彼女の両膝を立て、拭いてもなお潤んでいる蜜口にソレを当てた。
先端が、彼女の蜜に濡れる。
手で握り、上下に入り口に擦る。僅かに、硬度が増す。
「ん
」
楽が喉を鳴らし、片方の膝が伸びた。
これ以上は起きるかもしれない。
眠っている時に何をしているのかと怒られるかもしれない。
何より、挿入らなかったら、気まずいし情けない。
けれど、やめたくない。
楽を執拗に嬲ってしまった理由が、焦りに代わる。
ごめん、楽――!
俺はダメもとで彼女の両膝裏に腕を回し、大きく持ち上げた。腰が上がり、蜜口が上を向く。俺は、自身を当てがった。
その感触で、無理なことはわかった。
わかったが、やめたくなかった。